伊藤信吾『風に吹かれて豆腐屋ジョニー』

風に吹かれて豆腐屋ジョニー (セオリーBOOKS)

風に吹かれて豆腐屋ジョニー (セオリーBOOKS)

著者は貿易会社や水産会社を経て、父親の三和豆友食品に入社。数々の独特の豆腐を作った後、現在は男前豆腐店を設立し、社長になっている。
本書の書名であり、表紙にも描かれている「風に吹かれて豆腐屋ジョニー」は、黒蜜なんかをかけて食べる女性が続出するほど、豆腐の概念を変えた商品なのだそうだ。セブンイレブンで見つけて気になっていたので、買って食べてみたが、確かに今までの「豆腐」とは似ても似つかない。スプーンですくった感触がババロアのようなのである。大豆の香りや味わいが猛烈に口の中に広がり、そして甘い。といっても砂糖の甘みではなく大豆の甘みである。味や食感の傾向が今までの豆腐とまったく異なるため、どちらが美味い・不味いはなかなか決められないが、人気になるのも頷ける一品である。
ちなみに著者が作った豆腐は、形状に趣向が凝らされたものが多く、さらに商品のほとんどが、名前やパッケージが実に独創的である。本書の表紙に書かれた「風に吹かれて豆腐屋ジョニー」など、まるでフランスパンをスライスしたような形である。
商品名も面白い。以下に、HPに載っていた商品ラインナップを引用したい。

  • 男前豆腐
  • 風に吹かれて豆腐屋ジョニー
  • Johnny Brown
  • Johnny Green
  • 厚揚げ番長
  • 絹厚番長
  • ジョニポン
  • 男の納豆
  • 京都冷やっこ「マサヒロ丑年蟹座」
  • 京都がんも番長
  • 京都三角厚揚
  • 京都四角厚揚
  • 京都絹厚揚
  • 京都油揚番長
  • 京都うす揚
  • 京都寿司揚

大部分の商品名が「男」っぷりを前面に押し出しているし、そうでないものもパッケージは「男」臭さに満ち溢れている。だからどうだと言うわけではないが、なかなか面白い趣向だと言えるだろう。