幸村誠『プラネテス』2巻

プラネテス(2) (モーニング KC)

プラネテス(2) (モーニング KC)

週刊モーニングで不定期連載された、2070年代が舞台のSF漫画。宇宙資源を求めて宇宙に進出した人類は、エネルギー問題や国家間格差・ゴミ問題など、20世紀の経験を生かすことなく同じ愚を繰り返している。それでも今さら宇宙開発をストップすることはできない。主人公のハチマキの仕事はデブリの回収作業(デブリ屋)だ。ハードで危険な仕事だが、宇宙開発のためには絶対に必要な仕事であり、仲間も良い奴らだ。給料も良く、いつか宇宙船を個人所有することを夢見ているが、それでもなお今の給料では宇宙船の個人所有など難しい。宇宙(そら)でも地球(おか)でも、人間の悩みやエゴは変わらない。ハチマキは夢と現実と大義に追い立てられながら生きている――といった設定。
木星往還船「フォン・ブラウン号」の乗船員(クルー)に応募することを決めたハチマキは、今までとは打って変わってトレーニングも必死に行う。宇宙への欲望に忠実に、わがままに、遠くへ行くためにたった一人で生きることを決意するのである。
しかし2巻では後輩女性・タナベが登場して、ハチマキのやることなすことに「愛」を振りかざして異を唱える。愛なんて馬鹿馬鹿しいと思いつつもハチマキは反論する言葉が出てこない。また「宇宙防衛戦線」などという宇宙開発そのものに異を唱えるテロリスト集団まで出てきて、ますます物語は面白くなっている。必読!