『プラネテス 1』

プラネテス 1 [DVD]

プラネテス 1 [DVD]

幸村誠週刊モーニングに不定期連載したSF漫画『プラネテス』のテレビアニメ版のDVD。原作となる漫画版は2002年度の星雲賞コミック部門を受賞し、本作を原作にした同名のテレビアニメ版も2005年度の星雲賞メディア部門を受賞している。同賞の原作・アニメのダブル受賞は『風の谷のナウシカ』以来の快挙。加えて、連載中の作品が受賞したこともこれが初とのこと。それだけ評価も高い作品なのだが、漫画版もアニメ版も、まだまだその存在が周知されているとは言えない。もっともっと、みんなに観てほしい(読んでほしい)作品である。
このアニメ版は、オリジナルキャラクターやオリジナルストーリーなどが多く、原作漫画を隅から隅まで忠実に再現するタイプのアニメではない。だからこそ面白い。本作が原作漫画と異なっており、また面白いのは、本作が漫画版と異なり「企業モノ」「サラリーマンモノ」としての性格を前面に押し出していることだ。主人公・ハチマキ(星野八郎太)は「テクノーラ」という宇宙企業(旅客・運輸の輸送や、宇宙開発・各種産業を扱う多角巨大企業)のサラリーマンである。ハチマキは第二事業デブリ課に配属されているが、職務性質上、デブリ課の成績は常に低く、デブリ課は「半課」(半端・半分などから来た呼び名)と呼ばれ会社のお荷物部署となっている。給料も高いというほどではない。
一方、原作となる漫画版の方では、デブリ拾いの仕事は(宇宙船を買えるほどではなくとも)それなりに高級ということになっている。またハチマキがどんな会社に勤めているのか、詳しく書かれている箇所は少ない。兵器部門があると4巻に書いてあることから、ハチマキたちの勤務先が大企業であることは推察できるけれど、アニメ版と同じ「テクノーラ社」に勤めているかどうか、明確な記述は無かったような気がする。
第1巻では、以下のエピソードを収録している。

#01 大気の外で
#02 夢のような

原作の漫画版とアニメ版で特に違っているのは、後輩のタナベ(田辺愛)が第1話から登場している点である。漫画版の方では(仕事は十分に覚えた一人前というレベルではあるものの)基本的に「下っ端」として始まり、その後でタナベの登場により価値観を揺さぶられる――という構図である。けれどアニメ版でのハチマキは第1話から「先輩」なのである。