『E.T.の住む星 惑星オーレリア』

E.T.の住む星 惑星オーレリアAPS-128 [DVD]

E.T.の住む星 惑星オーレリアAPS-128 [DVD]

今後10年以内に超巨大な望遠鏡が宇宙に打ち上げられて、何光年も離れた宇宙の星を観察しようとするプロジェクトがスタートするらしい。そうなると「宇宙には地球外生命は存在するか」という問いは哲学的な問いから純粋に科学的な問いに変わる。本作は、地球外生命は絶対に存在すると考える一流の天文学者や生物学者や地質学者などが集まって(空想ではあるが科学的根拠に基づいて)地球外生命をシミュレーションした、イギリスのBBCだったかのテレビ局が作ったドキュメンタリーである。「もはや地球外生命は存在するか否かではなく、地球外生命が“どの程度”存在するかが問題の焦点だ」と考えるような人々の集まりであり、何だかワクワクするようなシミュレーションとなっている。
このドキュメンタリーは「惑星オーレリア編」と「衛星ブルームーン編」の2作が発売されており、本作は前者である。オーレリアは地球サイズの惑星で、太陽の10分の1以下の光を発する赤色わい星の周りを回っている。赤色わい星から近すぎるため、引力が強すぎて自転をしない。そのため星の半分は永遠に灼熱地獄であり、残りの半分は全ての生命が死に絶える氷の地獄である。ただ、昼と夜の境目の地域には、沈まない太陽の恩恵を適度に受けた温暖な気候が広がり、様々な生命の息吹がある――というシミュレーションである。植物と動物が合体したような巨大な生物“スティンガーファン”の森はゆっくりと光の当たるところへ移動し、キリンとダチョウを足して2で割ったような大型肉食動物“ガルプホッグ”が闊歩する。その他にも、蛙に似た草食動物や、群れを成して陸上の大型生物も捕食する小さな水棲動物が存在する。
なお、赤色わい星は太陽と比べて活動が不安定なため、急に活動が活発化して猛烈な量の紫外線をオーレリアに放射することがある。そのため、ほとんど全ての生物は、この紫外線対策のための機能や行動を何らかの形で本能に組み込んでいる。例えば“スティンガーファン”は、太陽光の変調を感じ取ると、花びらのような部分を閉じて自らのコアな器官を守るし、“ガルプホッグ”は頭の上に紫外線を感じ取る器官を備えており、光線の猛威を素早く察知して身を守っている――など、面白い設定が多い。
まあ所詮はシミュレーションや空想の世界かもしれないが、こういった毒にも薬にもならないことを大真面目に取り組む企画は、案外嫌いではない。俺は『フューチャー・イズ・ワイルド』なんかも大好きだしね。