『NEON GENESIS EVANGELION vol.04』

NEON GENESIS EVANGELION vol.04 [DVD]

NEON GENESIS EVANGELION vol.04 [DVD]

地球規模の大災害「セカンドインパクト」を経た2015年の地球を舞台に、碇シンジ綾波レイ・アスカといった14歳の少年少女たちが、エヴァと呼ばれる人型兵器に搭乗して「使徒」と呼ばれる正体不明の敵と戦うアニメ作品『新世紀エヴァンゲリオン(通称エヴァ)』のDVD版。母親に死なれた上に父親に捨てられ、他人との接触を避け非主体的に生きる主人公・碇シンジは、ある日、特務機関ネルフの司令を務める父親・碇ゲンドウに呼び出され、エヴァに乗って「使徒」と戦うように言われる。シンジは拒絶するが、エヴァに乗れる適性は14歳の少年少女の、それも一部の人間だけであり、父親への複雑な感情・関係を抱えたまま結局エヴァに乗ることになる。決して望んだ戦いではないわけだが、シンジは必ずしも流されるばかりでもなく、自問自答や葛藤を抱えながら少しずつ自分の殻を破ろうと苦闘する。仲間や友達・居場所もできた。しかし一方で、凄惨な光景の続く毎日に14歳の少年少女たちの魂は確実に傷つけられていく――というアウトラインだろうか。
DVD第4巻には以下のエピソードを収録している。

第拾参話 使徒、侵入 LILIPUTAN HITCHER
第拾四話 ゼーレ、魂の座 WEAVING A STORY
第拾伍話 嘘と沈黙 These women longed for the touch of others' lips, and thus invited their kisses.
第拾六話 死に至る病、そして Splitting of the Breast

加持や葛城ミサトといった大人の男女にも当然スポットは当てられる。そもそも本作は碇シンジ葛城ミサトが主人公の物語らしい。まあ本作では老若男女を問わず全員がトラウマや深い葛藤を抱えているわけで、その中で愛だの代償行為だのといった大人の悩み全開なのが第拾伍話「嘘と沈黙」か。加持さん、良いキャラクターなんだけど。
個人的に中盤の要だと感じるのが第拾六話「死に至る病、そして」だ。擬似恋愛モードとも言えるほど良い関係に思えたシンジとアスカだが、シンジの才能は凄まじく、エヴァになんて乗りたくないと嫌々こなしているにも係わらず、エヴァのシンクロ数値は急上昇。短期間でアスカを抜いてナンバーワンの数値を叩き出す。エヴァに乗ることにプライドを賭けているアスカは、シンジに強い嫉妬を覚え、事あるごとにシンジを煽る。シンジもシンジでしっかり煽られ、油断や対抗心から不用意な行動を取り、結果としてエヴァ初号機ごと使途の体内(ディラックの海と呼ばれる虚数空間)に取り込まれてしまう――というアウトライン。第拾六話を境に、シンジとアスカの関係はギクシャクし、またアスカを起点にネルフ全体がグシャグシャに混乱し始める。そしてシンジやアスカの魂は際限なく損なわれ始める。スカッとする話ではないが、重要な話だと思う。