『巌窟王』6巻

巌窟王 第6巻 [DVD]

巌窟王 第6巻 [DVD]

アレクサンドル・デュマの小説『モンテ・クリスト伯』を原作とする深夜アニメ。元々は『モンテ・クリスト伯』をモチーフとするSF小説『虎よ、虎よ』をアニメ化しようとしていたそうだが、著作権の関係で実現せず、『モンテ・クリスト伯』をアニメ化したらしい。そのためか、細部まで原作に忠実にアニメ化しているわけではない。19世紀のパリではなく幻想的な未来のパリが舞台である点、復讐する側ではなく復讐される側の子どもたちの視点から話を構成している点など、原作を活かしつつも(かなり)大胆な構成の組み換えが行われている。俺は(あまりの長さに)原作は途中で挫折したが、原作とはまた異なった彩りが本作にはあると思われる。
DVD第6巻には以下のエピソードを収録している。

第十一幕「婚約、破談」
第十二幕「アンコール」

両家の両親が勝手に決めた許婚。幼なじみで小さい頃からよく遊んだけれど、本当に「愛」があるのかわからない恋人。そのことで迷ってきたアルベールだが、アルベールもユージェニーも、相手を想う気持ちにだんだん気づき始め、心が本当に通い始める。しかし一方で、ユージェニーの父親ダングラールは、金に目がくらみ、ユージェニーとアルベールの婚約を破談にしてしまう。そのことでお互いは深く傷つくが、ユージェニーの夢であったピアノの演奏会で、お互いの気持ちはさらに通じ合うのである。それにしても、この話は深いね。十一話と十二話は特に良い。原作と違って、復讐される側の少年少女の視点から書くことで、逆説的に、復讐劇の凄みが増している。