
『坊っちゃん』の時代―凛冽たり近代なお生彩あり明治人 (アクションコミックス)
- 作者: 関川夏央,谷口ジロー
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 1987/06
- メディア: コミック
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実際、2006年(平成18年)現在から見ても、夏目漱石は日本人や日本社会の象徴的な存在であるように思う。俺ごときが日本論を一説ぶる気はさらさらないが、簡単に書くと、夏目漱石は西欧文学の研究(つまり欧米文化・欧米技術の日本化)によって生計を立てるも、西洋のことが好きになれない。それどころか、留学によって神経症を悪化させ、ますます西洋が嫌いになる。ある種「ねじくれた形で」和魂洋才を体現しているのである。愛憎入り混じる静養への複雑な感情――まさに日本そのものではないか。
けれど日本思想史や文学史・歴史といった予備知識なしに読んでも単純に面白い。谷口ジローの漫画はやっぱり抜群に巧い。修練の人だね。