- 作者: 細野不二彦
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1999/01
- メディア: コミック
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この巻には以下のエピソードが収録されている。
ART.1 人魚姫の海
ART.2 戦場に消ゆ
ART.3 王様と乞食
ART.4 仮面を掘りおこす者
ART.5 三つの鞄
ART.6 半分と半分
ART.7 紙は応えてくれる。
ART.8 皇帝と貧者のための卵
ART.9 加州昭和村
特に気に入っているのは「王様と乞食」である。金唐紙を買い取るため、あるホームレスの男に付き合う羽目になったフジタ。しかし一等地の駅前に勝手に住み着き、テレビや本・漫画どころかカメラに時計・ウィスキーまである「豊か」な生活。フジタはホームレスに付き合うことに嫌気が差して「あんたら王侯貴族だよ。日本という金持ち国にぶら下がっている寄生虫のごとき貴族! 金唐紙はもうけっこう。これいじょうあんたらに付き合ってると“美”を観る眼が腐ってきそうだ」と吐き捨てて金唐紙の購入を諦める。しかしホームレスは言うのである。王様のごとき乞食にもひとつ、自由にならないものがあるのだ――と。なるほどと納得させられる。
「仮面を掘りおこす者」も面白い。民族アイデンティティとクリエイティビティの関係をモチーフにしている。