- 作者: 細野不二彦
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2004/09/30
- メディア: コミック
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この巻には以下のエピソードが収録されている。
ART.1 ジョージ・ワシントンの拳銃
ART.2 おそるべきドガ
ART.3 しあわせのトンボ
ART.4 貴婦人のセル
ART.5 薔薇と怠惰(ローズ・アンド・ルーズ)
ART.6 病院のカベ
ART.7 端血
ART.8 エアーズ・ロックの主(あるじ)
「貴婦人のセル」は、フランコン・ド・セルという19世紀フランスで流行った「気つけ薬」がモチーフなのだが、後期の中では特に好きなエピソードである。ジャン・ポール・香本が「癒し、リラクゼーションのアロマや香水ってのにも食傷気味でさ」と言っているが、同感である。このエピソードに出てくる女性がセル(気つけ薬)を手にとって心の中で叫ぶ言葉は、激しく心を揺さぶる。確かに女性に限らず現代社会はストレスに満ち満ちているが、本当に欲しいのは「癒し」なんかではないと俺は思うのである。「貴婦人のセル」に続く表題作「薔薇と怠惰(ローズ・アンド・ルーズ)」も面白い。香本と翡翠(フェイツイ)という曲者同士が結託するのも、なかなか良いね。
「エアーズ・ロックの主」も好きだ。蝶が化石になったオパール格好良いなあと思う暇もなく、アボリジニをモチーフとした文明批評的な話が展開される。それも悪くはないが、やっぱり見所はエアーズ・ロックの主たる最終ページであろう。実在はしないだろうが、これは俺も見てみたい。圧巻!