稲垣勉『知ったモン勝ち! 私はこの方法で資格を30取得しました 無敵のラジカル・マスター学習法』

Amazonでバカ売れしている本。この本は発売当初に本屋で見かけたことがあるのだが、30の資格の中には秘書検定やカラーコーディネーターまで含まれており、それなりに難しいのは行政書士宅建くらいだろうとか思って購入を取りやめた経緯があった。しかし発売後2年を経てもAmazonでバカ売れしているのと、既に227件もカスタマーレビューがついていることが気になり、購入してみた。
著者は自身の勉強に記憶術や速読術を取り入れているそうだが、それらの習得には時間も金もかかるため、それらのエッセンスを特別な訓練なしに使えるようにしたものが、本書で言うラジカルマスターである、という位置づけのようだ。ラジカルマスターの内容を一言で書くならば「文章を圧縮(単純化)することで記憶と理解のスピードを速める」ということだろうか。以下、簡単にポイントを書いてみたい。

  1. ラインマーカーでキーワード(というか著者の引いている箇所はキーワードというより名詞だが)に線を引きながら、市販の基本書を読み進める。
  2. ラインマーカーは2色用意し、文ごとに色を入れ替えながらマークする(意味のまとまりを視覚的に意識するため)。
  3. 2回目以降は、マークした箇所を中心に読み進める。
  • より理解を深める際は、マークした箇所を基に、難しい言葉や概念を簡単な言葉に置き換える。(ラジカルマスターでは、原則としてノート作りは行わない。手間がかかるためというのが理由で、通常この作業は頭の中だけで行う。ただ、より効果を高めるために、ノートにまとめることもある。)

まあ、まとめると大したことのない内容のようにも思える。しかし、例えばラインマーカーを2色用意するというアイデアなどは、実際けっこう使えそうな気がする。こういった実践者の些細な工夫というのは、けっこう重要だと俺は思うのである。
ちなみに本書では、過去問を「記憶」のために使い倒している。前日の苫米地英人『頭の回転が50倍速くなる脳の作り方』では、過去問は解くなと書いていたが、本書の方が現実的で、理解にも記憶にも良いアプローチだと思う。