坂木原レム『モンスターキネマトグラフ』

モンスターキネマトグラフ (リュウコミックス)

モンスターキネマトグラフ (リュウコミックス)

主人公のマミヤさんは、興奮すると巨大な怪獣に変身してしまうという特異体質。WWEレスラーもビックリのギミックは、戦争中は軍に兵器として利用され、戦後も政府の生物化学研究所管理下に置かれている、という設定。
このトリッキーなネタを、ギャグやパロディではなく、あくまでもストーリーの中で、徹底的に遊び倒している。戦争中、お互いにちょっと意識しあう存在の男がいたのだが、なんせ興奮すると怪獣に変身。転んだマミヤさんを受け止めてくれて良い感じになったところで……怪獣化! しかも1回怪獣に変身すると12時間は変身できないという設定があるのだが、男と良い感じになって12時間経たないうちに敵襲があり、マミヤさんが戦えない中、マミヤさんに頼り切っていた小隊は壊滅し、男も死んでしまう。マミヤさんは、真面目なんだかギャグなんだかよくわからない不思議なトラウマを抱えているのである。そして戦後は、どこに行っても怪獣女とひそひそ話をされ、政府に監視される生活を送っていたが、ひょんなことから怪獣映画に出演することになる。
いやー、不思議な漫画です。ネタは徹底的にマイナーだが、絵は綺麗にまとまっており、話の作り方も巧いので、今後また別の作品でブレイクするかも?