岩崎日出俊『サバイバルとしての金融』

サバイバルとしての金融―株価とは何か・企業買収は悪いことか (祥伝社新書)

サバイバルとしての金融―株価とは何か・企業買収は悪いことか (祥伝社新書)

投資銀行時代のエピソードが非常に面白い。アドバイザーをしていたある企業が、アメリカまで行って交渉をするのだが、どうしてもまとまらず、決裂しそうになる。ここでは一旦交渉を打ち切ってアメリカに帰るべきなのだが、クライアントの担当役員は、それで本当に交渉が決裂するのを恐れて、どうしても決断できない。しかし、相手が折れてくると信じて、ここは引いてもらうしかない。
こういう話の場合、最後はロジックではなく、決断の問題だ。
dankogaiのブログに書いていてなるほどと思ったのだが、本当に凄い商売人は、考えずに、悩む。ロジックは前提として、あるいは直感的に掴み取り、それでなお最後の決断に悩むのである。本書のエピソードは、まさしく「結論者」ではなく「決断者」の話だなと思った。