佐藤優+コウ・ヨンチョル『国家情報戦略』

国家情報戦略 (講談社+α新書)

国家情報戦略 (講談社+α新書)

「論壇界の小川直也」と呼ばれる(※友達と俺が勝手に命名しただけ)佐藤優が、コウ・ヨンチョルなる人物と対談している。佐藤優もかなりの猛者だが、このコウ・ヨンチョルもインテリジェンスの分野ではかなりの猛者のようだ。そして2人とも国策捜査によって犯罪者に仕立て上げられながらも著作活動を行う抵抗者である(もちろん違う見方もあろうが、著者2人としてはこういうスタンスである)。
さすがインテリジェンス(諜報)のプロだけあって、ちょっと普通とは異なる情勢の見方をしている。例えば、6ヵ国競技の裏の目的は、日本を核保有国にしないことらしい。日本は現在(良かれ悪しかれ)世界屈指の平和ボケした腑抜け民族だし、本書にも書かれているように「ウランをどこから調達するの」という問題があるため、現実的には絶対に在り得ない仮定だと思う。しかし日本には武力もあり金もあり、リメンバー・パールハーバーもある。他国にとっては、いつまでも「日本が核を持ったら……」という脅えが払拭できないということは、実際にあるのかもしれない。