岩崎明彦『「フラガール」を支えた映画ファンドのスゴい仕組み』

本書は決して業界裏話的な内容の本ではなく、コンテンツビジネスについて真剣に(しかし非常に易しく)述べた本である。書名にもなっている「フラガール」の制作費を調達した映画ファンドだけでなく、アイドルファンドなどという荒唐無稽にも思えるコンテンツビジネスの話も本書には書いてある。金融ビジネスにはこんな可能性もあるのかと素直に面白い。良い本だと思う。
ちなみに著者は「ジャパン・デジタル・コンテンツ信託」という、アニメーションや映画といったコンテンツビジネスに対して投資ファンドなどの資金調達のスキームを提供している会社に勤めており、『コンテンツビジネスの資金調達スキーム』という本(こっちはゴリゴリの専門書)も書いているようだ。『コンテンツビジネスの資金調達スキーム』の発売当初、「面白そうだな」と思って手に取ったが、ちょっと専門的すぎたのと高すぎたのとで、買うのは諦めた。最近はコンテンツビジネスの専門的な本も増えてきており、コンテンツとファイナンスの結びつきは、今後もっともっと一般的になっていくのかもしれない。