岡崎京子『東方見聞録 市中恋愛観察学講座』

東方見聞録―市中恋愛観察学講座

東方見聞録―市中恋愛観察学講座

岡崎京子という漫画家は、多方面に多大な影響を与え、また様々な論客から80年代〜90年代の象徴として論じられてきた人物である。しかし、もう10年以上も前(1996年5月)に交通事故に会い、漫画を描けない状態が続いている(詳しいことを書くのは避けるが、断片的な情報を見聞きする限り、これからも描けないだろう)。そのため、もう新作を発表することはできないのだが、この何年か「復刊」という形で過去の作品が発表されている。そして本書も岡崎京子の初期作品である。
店頭で見かけた瞬間、なぜだか知らないが、どうしようもなく惹きつけられ衝動買いをしたのだが、大正解。とことんポップで、軽薄で、80年代的「あ・かるい」人生を謳歌している(俺は岡野玲子の『ファンシィ・ダンス』を思い出した)。そしてところどころ唐突に転換するストーリーのワクワク感――これは素晴らしい!