代々エマノンの血筋は「女の子が一人だけ生まれる」という宿命なのだが、今回は例外的に男の子の双子と一緒に生れ落ちる。エマノンほどの能力者ではないが、とはいえ男の子の方も自分が何か普通とは違うということは感じている。しかし自身の幼少の記憶がなく、出自がわからない。双子の女の子がいることは知っているものの、彼女がどこにいるのかもわからない。自分は何で、何のために生まれてきたのか――主人公はそのことを延々思い悩むのである。
聞きかじったところによると、「自分は普通ではないのでは」と考えるのはどうやら思春期にありがちなことらしいが、この主人公の場合、本当に他と違う。よくある「自分探し」の変奏と言えるだろう。
叙情性は薄れたが、これはこれで面白いと思う。
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