SFマガジン編集部『SFが読みたい!2008年版』

SFが読みたい!〈2008年版〉発表!ベストSF2007 国内篇・海外篇

SFが読みたい!〈2008年版〉発表!ベストSF2007 国内篇・海外篇

SFマガジン編集部による、2006/11-2007/10の新作SFのブックガイド。やっと最新版に追いついた。2001年度版から2008年度版まで、全部で何冊ピックアップしたのだろうか。怖いのでカウントするのはやめておく。

虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) 伊藤計劃虐殺器官
Self‐Reference ENGINE (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) 円城塔Self-Reference ENGINE
ジャン=ジャックの自意識の場合 樺山三英『ジャン=ジャックの自意識の場合』
星新一 一〇〇一話をつくった人 最相葉月星新一 一〇〇一話をつくった人』
沈黙のフライバイ (ハヤカワ文庫JA) 野尻抱介『沈黙のフライバイ』
プリズムの瞳 菅浩江『プリズムの瞳』
時砂の王 (ハヤカワ文庫JA) 小川一水『時砂の王』
マルドゥック・ヴェロシティ〈1〉 (ハヤカワ文庫JA) マルドゥック・ヴェロシティ 2 (ハヤカワ文庫JA) マルドゥック・ヴェロシティ 3 (ハヤカワ文庫JA) 冲方丁マルドゥック・ヴェロシティ
進化の設計者 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション) 林譲治『進化の設計者』

国内SFからは9作品。ちょっと気合いを入れてピックアップしてみた。最初の3冊は新人らしい。次世代の書き手なんだそうだ。次世代も何も、まだ俺は古典SFも現代SFも読んでいないのだが、まあ若手の勢いのある物語はやはり読んでみたいということで。あと最相葉月星新一 一〇〇一話をつくった人』はSF小説ではなく、SFの開拓者である星新一をめぐる伝記のようなものらしい。SFマニア以外にも評価が高いようなので、機会を作って読んでみたい。
さて、本シリーズも現時点での最新刊まで到達したので、簡単に総括めいたことも書いてみたい。俺のような門外漢であっても、こうして集中してブックガイドを読んでいると、日本のSF界をめぐる流れも大枠は掴めてくるようになった。2001年度版から比べると、やはり色々と変わってきた点が多い。第一に、SF系の賞がいくつかできたり、新たなレーベルが準備されるなど、SF系の書き手が活躍する「場」が着実に準備されていることが挙げられる。第二に、ミステリやヤングアダルト小説の出身者が本格SFの世界で才能を発揮するという流れが完全に一般化してきたこと。これはジャンルのクロスオーバーと言えるだろうか。そして第三に(ジャンルのクロスオーバーと似ているが)ライトノベルラノベが勃興してきたこと。
ただし俺はSFだけでなくライトノベルの門外漢でもあり、現時点でライトノベルブームをどう扱って良いものかどうか正直よくわからないというのも事実。そもそもライトノベルブームと言ったって、角川スニーカー文庫富士見ファンタジア文庫あたりは俺が子どもの頃から独自の地位を築いてきているしねえ。電撃文庫だって俺が大学生の頃には既にあったんじゃなかろうか。セカイ系というのもよくワカンネ。

双生児 (プラチナ・ファンタジイ) クリストファー・プリースト『双生児』
ゴーレム 100 (未来の文学) アルフレッド・ベスター『ゴーレム100』
ひとりっ子 (ハヤカワ文庫SF) グレッグ・イーガン『ひとりっ子』
FIASKO‐大失敗 (スタニスワフ・レムコレクション) スタニスワフ・レム『大失敗』

海外SFからは4作品。ここまで全て読了できると良いんだけど、まあ難しいよな、絶対。