中村融&山岸真『20世紀SF 1950年代 初めの終わり』

20世紀SF〈2〉1950年代―初めの終わり (河出文庫)

20世紀SF〈2〉1950年代―初めの終わり (河出文庫)

『SFが読みたい!』でも紹介されていた年代別のSFアンソロジー。シリーズ第二弾は1950年代。この時期は空前のSFブームで、質量ともに黄金時代を迎えたそうだ。10年間のSFの営みを凝縮した本だから当たり前と言えば当たり前なのだが、力作が揃っている。
収録作は以下の14篇。

レイ・ブラッドベリ「初めの終わり」
ロバート・シェクリイ「ひる」
フィリップ・K.ディック「父さんもどき」
リチャード・マシスン「終わりの日」
ゼナ・ヘンダースン「なんでも箱」
クリフォード・D.シマック「隣人」
フレデリック・ポール「幻影の街」
C.M.コーンブルース「真夜中の祭壇」
エリック・フランク・ラッセル「証言」
アルフレッド・ベスター「消失トリック」
ジェイムズ・ブリッシュ「芸術作品」
コードウェイナー・スミス「燃える脳」
シオドア・スタージョン「たとえ世界を失っても」
ポール・アンダースン「サム・ホール」

個人的に最も良かったのは、編者の2人も推薦しているリチャード・マシスン「終わりの日」だろうか。山岸真の「天変地異や全面核戦争による週末という設定は、SFではしばしば、文明や人間の真の姿を浮かび上がらせる」という指摘にも納得。
20世紀SF〈1〉1940年代―星ねずみ (河出文庫)  20世紀SF〈2〉1950年代―初めの終わり (河出文庫)  20世紀SF〈3〉1960年代・砂の檻 (河出文庫)
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