能力のインフレ化については、UOのようにスキルキャップ制を採用するなど、パラメータの工夫で解決することかなと思っていたが、リンク先のエントリーで提示されていた解決策は全く異なり、ネトゲのキャラクターが老いて死ぬことで、新陳代謝を図ろうというものである。なかなか新鮮。
なお俺がUOをプレイしていた遠い昔(テレホーダイやタイムプラスなんて今のネットゲーマーは知らないかも?)に漠然と考えていたこと、それは能力のインフレ化ではなく、お金のジャブジャブ化に対する解決策である。その解決策とは、UOに「経済社会」の概念を持ち込めばもっと面白くなるのではないか、ということである。といっても、別に複雑なことを考えていたわけではない。単純に考えて、モンスターが無尽蔵にアイテムやお金を落とすからお金がジャブジャブ化するわけだから、それを防ぐために、サーバ全体のお金の総額を運営側で管理・調整すれば良いじゃないか、ということである。NPCの秘薬の購入価格やアイテムの売却価格などは、需給状況で価格が上下していたのだが、お金のジャブジャブ化は、それだけではどうにもならなかった。ただ、もちろん単にサーバ内のお金の額を管理・調整するだけでは絶対に上手く行かないことが自明なので、銀行に預けたお金には「マイナスの利子」をつける。つまり使わないと、所有者のお金がじわじわと減り続けるわけである。それが嫌なら、どんどん使っていくか、減る以上に稼ぎ続けるしかないのである。これは、休眠ユーザーにアクティブユーザー化してもらう動機になると同時に、新規ユーザーとベテランユーザーの差を常に埋めようとする動きにもなる。リンク先のエントリーに倣えば「ネトゲのお金は死ぬべきである」ということになるだろうか?
……この頃は「凄いアイデアだ!」と思っていたのだけど、10年近くも経って久々に思い返してみると、結構穴だらけのアイデアだな。それにマイナスの利子までは行かなくとも、実体経済のメカニズムを注意深く埋め込んだネトゲは、既に幾つもありそうだ。
余談
この「マイナスの利子」というアイデアは、ちょうどこの頃に浅田彰や柄谷行人や坂本龍一が中心となって展開していた(あるいは展開しようとしていた)NAM(New Associationist Movement)という運動があったのだが、NAMの考え方を紹介した『NAM原理』と『NAM生成』で提唱されていた「LETS(Local Exchange Trading System・地域交換取引制度)」からパクったアイデアである。NAM……久々に思い出したけど、懐かしいなあ。いつの間にかNAMが消滅していたので、仮にも本を2冊も3冊も出して読者をアジテートした浅田彰や柄谷行人が、NAMにどうケリをつけたのか、実はよく知らないんだけども。