『フォーサイト』2009年1月号


国際情勢を中心とした骨太雑誌。
大半は面白くて考えさせられる記事なのだが、麻生首相の支持率のような、どうでも良い記事も混じっている。もちろん、これが1〜2ヶ月前ならタイムリーだったが、日本は今「麻生太郎」なんてどうでも良いのである。フォーサイトを手に取るような読者の今の関心事は、文字通り急速に(坂を転がり落ちるように)悪化する日本の経済情勢と雇用情勢を、世界情勢との繋がり(マクロな観点)を意識しつつ論じたものが読みたい――というものだろう。正直、俺は「経済情勢と雇用情勢の悪化」だけを特集した号であっても良いくらいなのだが、本書はそうなっていない。
もちろんフォーサイトは日本だけでなく世界情勢を特集する雑誌なので、日本のことだけ書いてはいられないということもあるだろう。しかし個人的には、「雑誌には即時性が求められるのに、月刊であるが故に、あるいは深い読み物にすればするほど、現実とのタイムラグが発生する」という紙媒体の雑誌の宿命が、この「むず痒さ」の正体なのかなと思った。
例えば、昨日(26日)のニュースでは、派遣切りによって200,000人以上が職を失い、2,000人以上が住む場所もなくなると言っていた。私見だが、この数字はまだ増える恐れも高いし、日本経済はトヨタやキャノンといった親玉企業が倒れると連鎖的に倒れるような産業構造になっているため、しばらくこの不況は続く、というよりこれから深刻化するんじゃないかと思う。少なくとも短期的には、日本の治安も悪化するだろう。こうした日本の情勢を世界の識者がどう見ているのか、あるいは世界情勢とどう結びつけて読み解けば良いのか――繰り返すが、これをフォーサイトで読みたい。しかしこのような記事は、フォーサイトに関しては、あと1ヶ月(あるいは2ヶ月以上)待たなければならないのである。www.fsight.jp