勝間和代『読書進化論』

面白いのは4章。本を売るノウハウ(というか自身の試行錯誤)が整理して書かれている。勝間和代は、あざといほど徹底して本を売る努力をしていることで有名だが、そのこと自体は全く悪いことではない。まあ勝間和代の場合、自慢話や売らんかな精神があからさますぎて鼻につくという問題はあるにせよ、勝間和代を見ていると、本が売れないのを「インターネットの台頭」や「世代論」で誤魔化すのはやはり単なる怠慢だったのだという思いを強くする。勝間和代には、従来の出版業界や書き手に対して「面白いコンテンツを作る努力」や「読者に届けようとする努力」が欠けていたと言う資格があるだろう。
そもそも俺は常々「若者の活字離れ」は本当かな、と思っているのである。本や雑誌からは離れているかもしれないが、ケータイだってネットだって若者はガンガン使っているからだ。インターネットは、音や映像といったマルチメディアの文化であると同時に、テキストの文化でもある。俺たちは今、人類史上稀に見るほどの活字文化の中を生きているかもしれないのである。