森奈津子『姫百合たちの放課後』

姫百合たちの放課後 (ハヤカワ文庫JA)

姫百合たちの放課後 (ハヤカワ文庫JA)

西城秀樹のおかげです』と『からくりアンモラル』が面白かったので、借りてきた。
西城秀樹のおかげです (ハヤカワ文庫 JA)  からくりアンモラル (ハヤカワ文庫JA)
本書も今までに読んだようなエロス系短編小説集である。『からくりアンモラル』のような切ない系の短編ではなく、『西城秀樹のおかげです』に近いエロコメディなので、特に『西城秀樹のおかげです』が面白かった方に推薦。
俺は最初に「あとがき」を読む癖があるのだが、もう既に笑えるというか凄い。単行本の「あとがき」の一節が以下。

 また、官能小説は文学としては軽視されているジャンルではありますが、私は、大勢の人々がおのれの作品を自慰行為にご使用くださることは非常に光栄なことだと思っています。自慰行為もまた、性交と同様、人を幸福にする行為であるべきだと信じているからです。
 この作品集も、もし、貴方のお気に召しましたら、オカズとしてお使いいただければ幸いです。

文庫版の「あとがき」の一節が以下。

 ところで、あまり知られてはいないようですが、レズビアニズムを「百合」と名づけたのは、ゲイ雑誌「薔薇族」の伊藤文學編集長です。
 かつて「薔薇族」の文通欄には、「百合族コーナー」という欄があり、女性が女性のパートナーや友達を求めることができたのです。
 レズビアニズムに「百合」という愛らしい名称を与えたのがゲイ雑誌の編集長であり、しかもご本人は異性愛者だというのがまた興味深く面白く、さらにはなにやらうれしい心持ちもいたします。

もう、何というか、凄すぎる心持ちがいたします。面白い!