三宅乱丈『ペット』1巻

ペット 1 (ビッグコミックス)

ペット 1 (ビッグコミックス)

他人の記憶を操作できるという超能力者をモチーフとした漫画。俺の中では、三宅乱竹と言えば『ぶっせん』で仏教専門学校コメディという新境地を切り開いたギャグ漫画家、というイメージが強いのだが、最近『イムリ』というギャグの一切ないSFファンタジー漫画を描いており、これが大傑作と言えるほどに面白い漫画なので、三宅乱丈の過去のシリアス系漫画を読んでいる次第。
ぶっせん 上 (F×comics)  ぶっせん 中 (F×comics) ぶっせん 下 (F×comics)
イムリ 1巻 (BEAM COMIX)  イムリ 2巻 (BEAM COMIX)  イムリ 3 (BEAM COMIX)
イムリ 4 (BEAM COMIX)  イムリ 5 (BEAM COMIX)
で、この作品は『ぶっせん』からの系譜ではなく、今後『イムリ』に繋がっていくような、ギャグの要素が一切ない作品。この物語は、記憶は、本人を支え拠り所となる「ヤマ」の記憶、本人を痛めつける辛いトラウマとなっている「タニ」の記憶、そのどちらでもない普通の記憶という3つから構成されている。ヤマの記憶を破壊すればその人の人格も破壊されるわけだが、主人公たちは中国人マフィアの監視下にあり、ターゲットの(人格の破壊も含めた)記憶の捜査に従事している――というアウトラインである。ちょっとわかりづらい作品で、実際に最終的には打ち切りっぽく終わってしまったのだが、なかなか面白い作品。