高橋ツトム『爆音列島』13巻

爆音列島(13) (アフタヌーンKC)

爆音列島(13) (アフタヌーンKC)

中学校内での喫煙がきっかけで転校した少年(加勢高志・タカシ)が、転校先の仲間と共に暴走族「ZEROS(ゼロス)」に身を投じる――というアウトライン。著者の自伝的な作品で、1980年代の東京・品川区を舞台としている。
岩田という敵対暴走族が凄くかっこいい。岩田は通称「ショッカー」と呼ばれており、何と常にショッカーのマスクをかぶっている。それどころか仲間に対しても「イー」だの「シュイー」だのしか言わない。単なる変人なのだが、その奥に何か深い葛藤や悩みを抱え、誰も信用せずに苦悩しているのである。タカシは岩田に興味を持ち、近づく。仲間になれたらと考えるのだが、しかし岩田の闇が何なのかかわからないまま、岩田はバイク事故で死んでしまうのである。
タカシは、マニヨンと新美の死をきっかけに暴走族にのめりこむが、岩田の死も作品の中でとても重要な役割を果たす。タカシは、岩田の死をきっかけに、暴走族しての終わりを意識するのである。あと1年、18歳まで暴走族に全力で打ち込み、そして引退して仕事でもしようと考え始める。そして迷惑をかけ続けた母親にそのことを伝える。
ただし、一般人になった後「族の時はハンパだった」って思いたくはない。ZEROSを完璧にやり遂げてから次に進みたい。そう思ったタカシは、マニヨンと新美の1周忌集会で、エンペラや極楽といった敵対する暴走族も参加する、1000台規模の集会にすることを思いつくのである。このエピソードが、おそらくこの作品のクライマックスになるだろう。続きが楽しみ。