松本大洋『ナンバーファイブ(吾)』5巻

ナンバーファイブ―吾 (5) (Big comics ikki)

ナンバーファイブ―吾 (5) (Big comics ikki)

地表の70%が砂漠で覆われた遠未来の地球を舞台に、「国際平和隊」を率いる9人の幹部組織「虹組」からの逃亡を図るNo.吾(ナンバーファイブ)と、追手(No.吾以外の8人の虹組が中心)の対決を描いたハードボイルドな作品――だったのだが、虹組は解散させられてしまう。
虹組のメンバーは確かに異能ではあるが、最新技術(おそらく遺伝子関係か)を作って作り出された人間で、また組織の維持にも極めて多くの金を費やしている。まあ虹組に求められた役割は、軍事力そのものよりは、象徴的な存在だったのだが、今となっては虹組そのものが治安を不安にしているため、その存在意義が強く問われてしまったのである。
そのような中、No.惨(ナンバースリー)は、No.吾(ナンバーファイブ)の追跡に向かうことになる。このような事態を引き起こしたのは明らかにNo.吾(ナンバーファイブ)の反抗・逃亡が原因であり、彼の死と、その後の自死でけじめをつけようとNo.惨(ナンバースリー)は考えたのである。しかし自分にももはや帰る場所はないから、No.吾(ナンバーファイブ)を殺した後は自分も死ぬつもりだった。
悲壮な戦いである。