- 作者: 筒井康隆
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1995/04
- メディア: 文庫
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それにしても、よく考えれば(よく考えるまでもなく)、世界から言葉が失われていくということは、想像を絶する孤独である。これが凡百の小説家であれば「面白い着想の実験小説」という評価しか得られなかったであろうが、読み進めていくうちに、何と言うか、胸を引き裂く独特の切なさを俺は感じてしまった。何と言うか、逆説的なのだが、言葉が失われても物語が破綻なく続いてしまうことがたまらなく切なかったのだ。筒井康隆の超絶技巧ゆえの到達点だと言えるだろう。