- 作者: 佐藤秀峰
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/06/19
- メディア: コミック
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第1巻は第一外科のエピソード。助かる見込みのない患者に手厚い延命措置を行うことは税金の無駄遣いだ――と斉藤の指導医(オーベン)である白鳥は語る。確かに物凄い額の医療費が税金から捻出されているのである。しかし斉藤は納得できない。そして斉藤は、絶対に助からず近いうちに命を落とす患者に、独断で延命措置を施すのである。あまりに青臭く、無条件に賛同するには俺も歳を取りすぎてしまったが、それだけに胸を打つ。
もう1点、斉藤のような研修医は激務薄給であり、何と斉藤は月給38,000円(日給ではない!)である。そのため斉藤は夜間の救急病院にアルバイトに行くのだが、そこで日本の医療現場が抱える大きな構造的な課題に直面する。日本全体の医師の数は足りているのだが、病院の数が多すぎて、ひとつの病院に満足な数の医師がいない――という現実である。したがって斉藤のような何もできない研修医が夜間の病院では当直に入ることは、ごく一般的なことなのである。まさに本書が問題提起をしたために、研修医の待遇についても、医師と病院数についても、まさに本書が問題提起したことによって広く知られるようになった。まあ、この頃と今では少しずつ状況も変わってきたという話も聞いたことがあるが、ううむ……凄いね。