- 作者: 佐藤秀峰
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/04/17
- メディア: コミック
- クリック: 7回
- この商品を含むブログ (30件) を見る
第5巻は、前半が小児科。現在(本作の描かれた時点)の診療報酬制度では、小児科はどうやったって赤字である。しかも、ただでさえ子ども相手で大変な現場なのに、夜間は特に混雑する。大人は、自分の辛さは朝まで耐えられるが、愛する我が子を朝まで苦しませることには耐えられないから、夜間診療をやっている病院に殺到するのである。だから小児科は毎日夜半過ぎまで「戦場」になってしまうため、斉藤の指導医(オーベン)の安富先生は救急搬送の依頼を「満床です」と機械的に断っていく。そうした(一見すると)無慈悲な行動に、斉藤はいつもながら憤ってワーワーと騒動を起こすのだが、安富先生は、斉藤とは違う戦い方で今の現実と必死で向き合い、戦い続けていたということを、斉藤は後に知ることになる。斉藤は安富先生ほどの覚悟がなかった自分を恥じ、黙り込むしかなくなるのである。地味ながら好きなエピソードだ。覚悟って、こういうものだろう!
後半からは、長編となるがん医療編。ここから8巻の終わりまでかけて、抗がん剤の功罪が徹底的に掘り下げて語られる。ハードでディープなエピソードが続く。