佐藤秀峰『ブラックジャックによろしく』13巻

ブラックジャックによろしく(13) (モーニング KC)

ブラックジャックによろしく(13) (モーニング KC)

研修医(斉藤英二郎)が目にする日本の大学病院や医療現場の現状を描いた傑作漫画。斉藤は研修の配属先で毎回騒動を起こすが、それらの騒動は、ことごとく日本の医療が抱えている深い暗がりに足を踏み入れてしまう――というアウトライン。
9巻から続いた精神科編もラスト。デリケートな問題を、作者はよく逃げずにここまで取り上げたな、と思う。この漫画が与える感動や衝撃は今なお陳腐化していない。まだ未読の方は、ぜひ読んでみてほしい作品である。
なお、この後『ブラックジャックによろしく』はモーニング(講談社)からビッグコミックスピリッツ小学館)に掲載紙を変え、『新ブラックジャックによろしく』と題名を変えて連載することになる。こちらの感想も書くつもりだが、一言でまとめると、小学館に移籍してからは完全に迷走している。未読の方は『新ブラックジャックによろしく』を読んで善し悪しを判断する前に、講談社の1巻〜13巻を読んでほしい。