『ピロウズ ハイブリッドレインボウ』

ザ・ピロウズ ハイブリッド レインボウ

ザ・ピロウズ ハイブリッド レインボウ

the pillowsピロウズ)のデビュー20周年を機に、メンバーやピロウズに関係の深い人々にインタビューした本。俺はピロウズが最も好きなバンドなので、十分に楽しめた。しかし内容のないインタビューも結構あるし、基本的にはファングッズの域を超えるものではない。あえてファングッズ以上の何かを見出そうとするならば、人と人が様々な時と場所で様々な関わり方をしながら人生は形作られているのだな、と謙虚な気持ちになることもできる点だろうか。まあ、それもファンであるからこその感慨なのかもしれないけれど。
なおピロウズは、デビュー20周年という事実からもわかるように、結構なベテラン(B'zと同期)なのだが、未だに成長し続けているバンドでもある。『フリクリ』というアニメに曲を提供したことで、特に海外では、既にかなりの人気・知名度を獲得しているが、最近は日本でもチャート上位に顔を出すことがあるらしい。俺は初期の数枚のアルバムを除き、ほぼ全てのアルバムを持っているが、どれもこれも素晴らしい。ジャンルについては俺はよくわからないが、Wikipediaによるとオルタナ系ロックバンドにカテゴライズされているようだ。
ピロウズを知らない人は多いので、ピロウズについて語ると「ピロウズの魅力」について聞かれることがあるのだが、その時は「魂を揺さぶる歌詞」「乾いた音色」「疾走感」と答えている。それらに加えて、最近は「ポップさを併せ持っているところ」も魅力かなと感じている。

ロックバンドであるthe pillowsの作品が、近年特に「ポップである」と評価されることについて山中さわおは、「これまでも常にポップなものをつくり続けてきたつもり」であると言い、最近は自分たちのそれが周りと一致してきたのではないかと語っている。また山中自身にとってポップである条件とは「普遍的に良いもの」であることで、「ポップス」や「キャッチー」とは区別されるべきものであるという。(Wikipediaより)

俺は性格的にひねくれているのか、どうしても「ポップでないこと」「メジャーでないこと」「王道でないこと」に惹かれやすいのだが、ポップであることの価値が、最近やっとわかるようになってきた気がする。「ポップ」という観点でピロウズを聴き返すと、これがまた素晴らしいんだよな。

余談−代表曲紹介

どの曲も最高なのだが、一般的な知名度も鑑みて「LITTLE BUSTERS」「Ride on shooting star」「I think I can」「ストレンジ カメレオン」「Funny Bunny」「ハイブリッド レインボウ」の6曲を紹介しておきたい。「百聞は一“聴”に如かず」なので、説明はごく簡単に。

「Funny Bunny」は個人的に最も好きな曲。シングルカットされていないのが不思議なくらい歌詞も曲も完璧。「キミの夢が叶うのは 誰かのおかげじゃないぜ 風の強い日を選んで 走ってきた」というサビを聴く度に魂が震え、深く勇気づけられる。まあ聴いてみて。説明不要!



「LITTLE BUSTERS」は『フリクリ』に挿入された疾走感溢れる曲。俺がピロウズにハマったきっかけとなる曲。かっこよすぎるっしょ。



「Ride on shooting star」も『フリクリ』に挿入された曲。「LITTLE BUSTERS」と共に、俺がピロウズにハマったきっかけとなる曲なのだが、この2曲は『フリクリ』を介して海外のピロウズ人気を誘発した曲でもあり、ライブでの定番曲でもあるらしい。



「I think I can」も良い。サビでの「I think I can」の連呼が最高。



「ストレンジ カメレオン」はピロウズの方向性を決定づけた代表曲。俺自身、約10年間ピロウズのファンを続けているが、俺よりもさらにコアな、古くからのファンにとって特に思い入れが深い。



本書の書名にもなっている「ハイブリッド レインボウ」も名曲。イントロでの抑制された(あるいは抑圧的な)感覚と、サビで一気に解放される爆発的な高揚感の対比は、俺のツボのド真ん中を突いており、聴く度にシビレる。この対比を味わう度に、俺はニルヴァーナを想起してしまう。俺は別に音楽には詳しくないので的外れかもしれないけれど、まあ俺の感覚ってことで。なお、この動画では、近年の名曲「スケアクロウ」をバックミュージックにピロウズのメンバーへのインタビューも載っている。

余談2−極私的名曲紹介

もちろん「代表曲」以外にも名曲は数多い。キリがないので、一曲だけ紹介!

「ROBOTMAN」は『Thank you, my twilight』というアルバムに収録されている。とにかく歌詞が良いのだけれど、俺ではとても魅力を表現できないので、歌詞も引用しておく。

悲しいリズムが心で鳴りやまないのは
ただ死ねないだけのロボットになったあの日から
サヨナラBaby 期待にこたえられないよ
このままずっと変われる気がしない


誰かれかまわず平気で見下してるのは
ただ賢いだけのロボットになったあの日から
サヨナラBaby ほとんど嘘になったけど
信じてたんだ マトモになれるって


感情なんて捨てたんだ
静かに眠りたい
けど変だ ひとりでに
涙がつたって頬を濡らすんだ
ロボットのような冷たい僕の


自分の事しか優しく扱えないのは
体温を失くしたロボットになったあの日から
サヨナラBaby ハリネズミ達のジレンマ
このままちゃんと治せる気がしない


明日君はいなくなって
誰かと眠るのさ
oh yeah, 不思議だ
涙がつたって頬を濡らすんだ
ロボットのような冷たい僕の


すぐに誰もいなくなって
独りで眠れるさ
oh yeah, 不思議だ
涙がつたって頬を濡らすんだ
ロボットのような冷たい僕の


サヨナラBaby

追記

「バビロン天使の詩」も紹介!