冨明仁『柔らかい女』

柔らかい女 (ビームコミックス)

柔らかい女 (ビームコミックス)

Fellows!』というマニアックな隔月雑誌に載っていた読み切り「BOX SEAT」を読んで以来、ちょっと気になっていた漫画家。電車のボックスシートに向かい合って座ることになった若い男女が、チラチラとお互いの顔を盗み見たり、相手側に飛んでしまったサンダルを(足をたぐって)取ろうとして、自分の足が相手の足に触れてお互いドキッとする――といった、フェティッシュこの上ない話。
フェチの皇帝である桂正和先生と違うのは、先生のフェチはあくまでも読者にだけ向けられたものだが、冨明仁のフェチは、登場人物も妙に恥ずかしがっていたりして、そうしたフェティッシュな行為に登場人物が興奮(とまで言うのが大げさであれば、意識)している点。