坂口いく+岩澤紫麗『ちぇんじ123』1〜12巻

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女子高生・月斗素子は、本来とてもおっとりした性格だが、幼い頃から伝説の格闘家である3人の父の過酷な特訓を受けたことにより、精神的な緊張が高まると、ひびき・ふじこ・みきり(ひふみ)という3人の他人格が出現する多重人格者でもある。素子はその秘密をひた隠しにして生きて来たのだが、特撮オタクの主人公・小介川に知られてしまう――というプロローグで始まる美少女アクション漫画。チャンピオンREDという、あまり有名でない月刊漫画雑誌で連載されていたのだが、これは相当に面白い漫画だった。コメディー・シリアス・お色気のバランスが良く、コミックス発売が非常に待ち遠しかった漫画のひとつである。
それにしても岩澤紫麗の絵柄は、体のラインが柔らかくて、なかなか魅力的だな。今のところ次回作が見当たらないが、早く次の作品が読みたい。
以下、簡単にコメント。

1巻

プロローグ。

2巻

色んな刺客に素子やひふみが襲われ、ついでに小介川も襲われる。しかし、襲われる過程で、素子やひふみの素性がどんどん明らかになっていき、小介川と素子の仲も少しずつ深まっていく、という感じ。

3巻

意味不明な襲撃に巻き込まれる月斗素子と小介川だが、この襲撃は、月斗素子の解離性同一性障害の治療だということを知る。治療のためには、月斗素子とひふみの意識を飛ばさなくてはならない。しかし、全員の意識を飛ばすには、ひふみを戦いで気絶させる必要がある。月斗素子のことを想う小介川は、戦いを止めたいが、止めたいわけにも行かず――と、少女漫画の主人公のようなジレンマに襲われる。

4巻

ひふみ(ひびき・ふじこ・みきり)以外の交代人格・ゼロが登場して、エピソードはクライマックス。その後は、デートやら文化祭やら、ほのぼのエピソードが続く。

5巻

4巻で登場した日野やギンガ・月島といった新キャラが活躍しだして、さらに面白さがアップ。特に月島は、今後の物語の伏線としても、なかなか重要。

6巻

しばらくほのぼのとしたエピソードが続いていたが、沖縄への修学旅行で、在日米軍の跳ねっ返り軍人とトラブルになり、シリアスパートが始まる。とはいえ、ところどころギャグやお色気もある。

7巻

引き続き沖縄編。羽目を外して好き勝手やろうとした軍人たちだが、ひふみや日野に邪魔をされたおかげで「本業」に師匠が出ることが避けられなくなる。もちろん完全な逆恨みなわけだが、さらに怒りはヒートアップ。

8巻

沖縄編が終わったら、今度は小介川は北海道へ。父親同士が決めた許嫁と会わなきゃならないからなのだが、まあ漫画的展開というか、予想通りな人が許嫁の相手に。まあ、漫画だもの、こうでなくっちゃ。

9巻

北海道編が終わり、また学園祭で盛り上がる登場人物たち。

10巻

そろそろ物語のクライマックスに突入しつつある、という段階。これまで、解離性同一性障害の治療として、月斗素子とひふみ(ひびき・ふじこ・みきり)の融合の前段階として、ひふみとゼロの融合を進めてきた。ふじことゼロ、みきりとゼロの融合は行われたが、この巻でひびきとゼロの融合が発生。あとは月斗素子とひふみの融合か――と思ったも束の間、色々あって、月斗素子の意識が「消え」てしまい、表に出てこなくなる。

11巻

「月斗素子」を抜きにした、ひふみたちによる異常な「日常」が始まってしまう。とはいえ、この漫画はシリアスパートとギャグとお色気のブレンディングが肝なわけで、シリアスばかりではなく、それなりにほのぼのと毎日が繰り返されたりもする。

12巻

この巻で最終巻。もっと読みたい気もしたが、何だかんだで、物語も登場人物も、良い感じで落ち着くべきところに落ち着いた。まだ続きが読みたいくらいのところで終える方が良いのだろう。