今西幹一『黄金の言葉 和歌編』

黄金の言葉 和歌編

黄金の言葉 和歌編

書名の通り、和歌を集めた本。
音読に向いたリズム感のある歌が多く収録されている印象。

八雲立つ出雲八重垣妻籠みに八重垣作るその八重垣を
やぐもたつ・いずもやえがき・つまごみに・やえがきつくる・そのやえがきを

例えば、この歌は(現代に伝えられる)日本最古の和歌である。
古事記日本書紀に収録されていたそうで、相当な古さである。
しかし……俺のような詩歌の素人でもわかる。
何というリズム感と力強さ!
やはり後世の歌と比べると、この時期の歌は「淡い技巧」がそれほど発達していないのかもしれないが、その分、直情的に感情を表現できる反復法や韻が多用されている。「八重垣」という言葉を反復させているのは言うまでもなく、八雲・出雲・八重垣・八重垣・八重垣と「八」や「雲」の漢字を頻発させて見た目にも楽しい上、ヤ行の繰り返しで「韻を踏んでるね!」と読んで楽しい。