『髪結いの亭主』

髪結いの亭主 デジタル・リマスター版 [DVD]

エロスと叙情に溢れたフランス映画。
この映画を初めて観たのは10年以上も前の浪人生の頃だが、俺のような映画の素人が「フランス映画ってこうなんだろうな」と思うそのままの静謐さをたたえていて、その雰囲気に打ちのめされたことをよく覚えている。
ハリウッド映画に欠落したこの空気感の正体は何だろうと考えた結果、それは「フランス語の響き」だと結論づけ、NHKのフランス語講座のテキストとCDを買ったことは、思春期特有の「勘違い感」が漂う良い思い出である。というか、フランス語を勉強する前に受験勉強をしろよという話もあるが、もちろん買って2〜3回くらいCDを聴いただけで満足し、その後は一度もテキストやCDを開いていないので、結果的に受験勉強に悪影響は及ぼさなかった。
話を戻すと、本作を見るのは多分5年ぶりくらいだが、2010年にデジタル・リマスター版のDVDが出たので久々に本作を借りてきた次第。相変わらずの叙情性である。昔感動した本や映画に再び感動できると、何となく安心するものがある。