福島聡『少年少女』1〜4巻

少年少女 (1巻) (Beam comix)  少年少女 (2巻) (Beam comix)  少年少女 (3巻) (Beam comix)  少年少女 (4巻) (Beam comix)
福島聡の初期短篇集。あまりの絶品ぶりに世の中の漫画読みが揃って悶絶したものだが、何だかもう、1巻から4巻の帯のキャッチコピーから気合が入りまくっている。

生きる不思議、死ぬ不思議をテーマに、少年少女をとおして
研ぎ澄まされた生死のドラマを描く、
生と死のジュヴナイル

異性に、オトナに、見知らぬ世界に。少年少女は憧れを抱き、
まだ見ぬ未来へ夢を膨らませていく。
永遠のアスピラシオン

たとえ社会が荒れ果て、俗に満ち、狂気が世界を包んでも、
少年少女の純真は愛が守るだろう。
愛溢るるフィクション

悲しみと、失意と受難を乗り越えて、いま子供から大人へと
成長していく少年少女期の美しさ。
美しきクロワッサンス

まあ「永遠のアスピラシオン」あたりになると、もうほとんど内容が伝わってこないわけだが、少なくとも編集者の並々ならぬ決意は伝わってくるだろう。内容は書名のとおり「少年少女」を主人公にした青春物語だが、ワイワイガヤガヤな作風ではなく、どちらかと言えば抑制された内向きの物語が多い。
ただ福島聡は、この評価を超える「傑作」を生み出すのに悶絶しているかもしれないなぁとも思っている。もちろん作者的には当然これを超えた作品を描いていると思っているだろうが、読み手としては、この作品のハードルはかなり高いと言わざるを得ない。個人的には、いま連載している『星屑ニーナ』に注目している。ポップな感じで、これまでの作風とはちょっと異なるが、久々に素直に面白いと思える。