荒川弘『鋼の錬金術師』1〜27巻

鋼の錬金術師全27巻 完結セット (ガンガンコミックス)

鋼の錬金術師全27巻 完結セット (ガンガンコミックス)

泣く子も黙るファンタジー漫画の傑作。
本作は、作品名の通り「錬金術」が技術として一般化した世界だが、この錬金術には「等価交換」という原則がある。なくなった母親を錬金術で生き返らせようとした兄エドワードと弟アルフォンスは、等価交換の原則として、兄は右腕を、弟は体全部を、「真理の扉」という、いわゆる人智を超えた超常の力で別世界に持っていかれる(魂はたまたま近くにあった甲冑に定着させ、何とか生きてはいる)。かろうじて生き残ったエドは、命を錬成しようという等価交換の原則から外れた思いを後悔すると共に、アルの体を元に戻すために旅を続けている……と、こんなプロローグだろうか。錬金術を縦軸に、人間を食い物にするホムンクルスという存在を横軸に、物語が展開される。けっこう骨太。まあ有名すぎる漫画なので、俺が説明する必要もないね。問答無用で必読の漫画。
ガンガンの作品らしく、当初からメディアミックスを想定されていたようで、アニメ化に映画化にゲームにと、片っ端から色々な派生作品が出ている。特にアニメは半年間のアニメシリーズを2回も作っている。俺は1回目のシリーズしか観ていないが、こちらが実は面白い。まだせいぜい10巻そこそこの時点で作られたため、そもそもエンディングが今とは異なっている上、原作と比べても遜色の無いほどレベルの高いオリジナルストーリーがある。

余談

最近は完全版が出ているようだが、ちょっと完全版を出すのが早すぎないか。まだ完結して何年も経っていないだろう。ガンガンという雑誌を考えると、多分これからサイドストーリーや後日譚をけっこう描かせると思うんだが、それらはちゃんと反映してくれるんだろうか。