佐々木俊尚『キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる』

キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)

キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)

ウェブやインターネット・コミュニケーション、モバイルツールといった領域でブイブイ言わせているジャーナリスト。書名を目にした瞬間もうほとんど本の内容が想像できてしまい、気にはなっていたものの手に取ることはなかった。しかし(本屋での扱いを見る限り)けっこう売れ続けているようなので、仕事が一段落したこともあって読んでみることに。
内容は事前の予想通り、前半では、マスメディア主導の情報流通・マーケティングが終わりを告げ、いかにして微細にセグメンテーションされたターゲットにリーチするかという情報流通・マーケティングのアプローチに変わってきた事例がふんだんに語られる。前半のキーワードは「ビオトープ」であろう。そして後半では、本書の主題である(コンテンツありきではない)コンテキストへの着目が、本書の書名でもある「キュレーション」というキーワードで総括されながら語られていく。
物凄く目新しいことが書かれている訳ではないけれど、ネットやハイテクツールの存在が俺たちの生活の何を変えるのかということに関心のある方は、一読して損はないと思う。この人の情報収集力と情報整理力は相変わらず凄く、本書でもその能力が遺憾なく発揮されている。Amazonでは「わかりにくい」という評価が多かったが、とんでもない。この本は実にわかりやすい。確かに事例は多いが、これらの事例は読み物としても普通に面白いしね。ジスモンチとか、田中さんの眼鏡とか。