向山貴彦『ほたるの群れ 1 第一話 集(すだく)』

ほたるの群れ〈1〉第一話・集(すだく) (幻冬舎文庫)

ほたるの群れ〈1〉第一話・集(すだく) (幻冬舎文庫)

向山貴彦は(一般的には)2001年に発売された『ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本』で有名なクリエイターである。しかし俺としては1999年に発売された処女小説『童話物語』の記憶が鮮烈だ。俺は『童話物語』の面白さに感動して、ぜひ早く次回作を……と願っていたのだが、次回作までずいぶんかかったなあ。
童話物語〈上〉大きなお話の始まり (幻冬舎文庫)  童話物語〈下〉大きなお話の終わり (幻冬舎文庫)
『童話物語』はファンタジーだったが、本作の舞台は現代日本である。事件に巻き込まれて少年少女の暗殺集団に命を狙われる羽目になったごく普通の(つまり暗殺者ではない)男子中学生・高塚永児。図らずも主人公が事件に巻き込まれるきっかけを作った(しかし悪意や暗殺技術は持っていない)ごく普通の女子中学生・小松喜多見。そして高塚&小松と同じ中学に引っ越してきた少年暗殺者・阿坂。この3人を軸に物語が進行する。確かに舞台は現代日本だが、孤児が引き取られて暗殺集団として秘密の組織に育てられ、中学生くらいの凄腕暗殺者が何人も暗躍しているという設定は、ある意味ファンタジーと言えなくもない。
まあ設定はあまりに陳腐で思わず呻きそうになるが、俺はけっこう面白いと思う。既に第二話も発売されているので、近いうちに読むつもりである。
ほたるの群れ2 第二話 糾 (幻冬舎文庫)