乾緑郎『完全なる首長竜の日』

主人公が人気女性漫画家(しかし落ち目)という点を除けば何ということもない日常を描いたリアリズムな設定だが、主人公の過去や状況が徐々に明らかになるにつれ、ラストのオチにかけて「あ、そういうことだったのね」と思いもよらぬ変化を見せる作品。この手の小説は即ネタバレになるので説明しづらいのだが、様々な書評で『マトリックス』的な設定だと言われている。
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個人的には、マトリックス的かと問われると……うーん、どうだろう。少なくとも読んでいるときにはそんな印象は全く抱かなかった。面白いんだけどね。
なお俺は『完全なる首長竜の日』という魅力的な書名から、筒井康隆『旅のラゴス』や小川一水『老ヴォールの惑星』といった叙情的なSFファンタジーを本書の購入時に思い描いていたけれど、(幸か不幸か)この2冊と本書の読後感は全く似ていない。
旅のラゴス (新潮文庫)  老ヴォールの惑星 (次世代型作家のリアル・フィクション ハヤカワ文庫 JA (809))

余談

本書で2000冊目。2000年8月1日以来、11年半かけて到達した。次は3000冊かな。