赤名修+真刈信二『勇午 インドシナ編』

勇午 インドシナ編(上) (講談社漫画文庫)  勇午 インドシナ編(下) (講談社漫画文庫)
功率97.4%を誇るフリーの交渉人・別府勇午による社会派ストーリー漫画。Wikipediaを読んでいて気づいたのだが、ほぼ全てのシリーズにおいて、交渉の過程で勇午が拷問を受ける羽目になる……という、なかなかアレな漫画でもある。
インドシナ編は勇午シリーズの中では異色と言って良い。そもそも勇午がほとんど出てこない。ストーリーの冒頭「勇午バンコクで志望した」という知らせが、勇午の仲間たちに届けられる。勇午はどんな依頼を受け、なぜ死ななければならなかったのか。報せを受けたジャーナリスト・北村は、高校生の菊地を同行させ、勇午の死の真相の究明を目指し、バンコクに飛ぶ……というプロローグ。ファン的には北村の活躍を見るのは楽しいけれど、もう一人の主人公である高校生の菊池は(このシリーズにしか出てこない)掘り下げの甘い人物である。まあ外伝的な位置づけだな。