赤名修+真刈信二『勇午 台湾編』1〜2巻

勇午 台湾編(1) (KCデラックス イブニング )  勇午 台湾編(2) (KCデラックス イブニング )
功率97.4%を誇るフリーの交渉人・別府勇午による社会派ストーリー漫画。Wikipediaを読んでいて気づいたのだが、ほぼ全てのシリーズにおいて、交渉の過程で勇午が拷問を受ける羽目になる……という、なかなかアレな漫画でもある。
前シリーズの「フィリピンODA編」から、しばらくご無沙汰していた海外編が復活したが、今回も台湾が舞台ということで、これはもう完全に海外シリーズが復活したと見て良いだろう。それ自体は非常に喜ばしいことなのだが、本シリーズから絵柄が大きく変わったことが読後感にマイナスの影響を及ぼしている。勇午が若すぎるように見える、目の描き方が変わったなど、全体として違和感があるのだが、特に酷いのが「デフォルメ」だ。デフォルメ自体は漫画的にはありふれた手法なので、それ自体を悪いという気はないが、『勇午』の魅力はシリアスな描写やストーリーである。しかし勇午の顔がネコになったり頭身が変わったりするなど、場違いなシーンで場違いなデフォルメがなされており、とにかくデフォルメの仕方が漫画にマッチしていない。Amazonで同じように指摘しているレビュアーが複数いるため、俺だけの思い過ごしという訳でもなさそうだ。一瞬、作画担当が変わったのかと思うほどで、早急に元に戻してほしいなあ。