福島聡『星屑ニーナ』3巻

星屑ニーナ 3巻 (ビームコミックス)

星屑ニーナ 3巻 (ビームコミックス)

ゴミ捨て場に捨てられていた星屑というロボットが、ニーナという女の子に拾われ、電池をもらって生き延びて……というプロローグなのだが、この漫画の真の主人公は星屑でもニーナでもなく「時間」そのものであろう。この漫画の一番の特徴は、作中の時間が(それこそ光の速さで)流れることである。1年経っても5年生から6年生に進級しないといったサザエさん的な展開はないし、わずか数時間の漫画内時間を何年もかけて描くようなこともしない。ロボットは年を取らないが、主人公たちはどんどん年を取っていき、死んでいく……という恐ろしいまでの無情。3巻ではついに人類さえいなくなった未来、そして星屑が動くための電池もなくなった未来に辿り着く。
こうしたコンセプトをもって「タイム・スキップ・コメディー」というキャッチコピーがつけられているが、これを純然たるコメディーとして読める人は少ないだろう。むしろ「時間」というものに圧倒され、そして形容し難い切なさに揺さぶられる人の方が多いと思う。紛れもない傑作である。
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