吉越浩一郎『結果を出すリーダーの条件』

結果を出すリーダーの条件 (PHPビジネス新書)

結果を出すリーダーの条件 (PHPビジネス新書)

トリンプ・インターナショナル日本法人の社長が書いた本だが、とにかく極論である。
著者は言う。リーダーは、全ての課題にデッドラインを引いて担当者をアサインし、そのデッドラインで担当者を締め上げて管理するべきだ。というか、リーダーの役割は、これ「だけ」しかない。課題と担当者とデッドラインをセットで管理して締め上げさえすれば、組織は勝手に良い方向に回りだすし、人材は勝手に成長する……と。
だから会議においてはプロセス報告や現状整理は不要で、それどころか日常レベルでの報連相も不要だし、仮に部下が仕事の進め方などについて相談してきても上司は相談に乗る必要もない。担当者は設定されたデッドラインに従ってリーダー達の参加する会議に解決策を持って来れば良い。そのアイデアが良ければ、承認し、次は実行するためのアクションプランを課題設定して、また全ての課題にデッドラインを引いて担当者をアサインし、引き続き締め上げる。そして承認案を持ってきた担当者にはより難しい課題・よりタイトなデッドラインを設定する。一方、担当者の持ってきたアイデアが良くなければ、否決して、新たなデッドラインを設定して引き続き締め上げる。締め上げてもクオリティが悪ければ、デッドラインをより細かく設定し、それでも望ましい課題解決策が出なければ別の担当者に切り替える(その担当者は他のもっと簡単な課題を担当することになる)。
そもそもこれはリーダーシップ論ではなくマネジメント論ではないか、しかもミドルマネジメントには適用できないトップマネジメント限定の論ではないかと思うが、とにかく非常に極端だ。しかし(賛成したいかどうかは別にしても)著者の主張のトーンは一貫しており、かつ何かしらの本質を突いているのも確かだと思う。こういう極論を出してもらえると、モノを考えたり職場で議論したりするにも役立つ。というか役立った。面白い本である。
なお著者は他にも、残業禁止(2週間の連続休暇を取らなかった翌年は罰として1年間連休禁止)、仕事の最高の報酬は「達成感」であるから達成感を感じる人間がメンタルの問題を引き起こすはずがない(自分の会社では一人もメンタルの問題を引き起こさなかった)、アメとムチは三流がやること、日本の総理大臣はフランスのサルコジ元大統領がやれば良い……など、様々な極論をブチ上げている。
なお俺はKindle版を購入。
結果を出すリーダーの条件 (PHPビジネス新書)