森博嗣『捩れ屋敷の利鈍』

捩れ屋敷の利鈍 (講談社文庫)

捩れ屋敷の利鈍 (講談社文庫)

元・旧家の令嬢にして離婚経験のある一児の母であり自称科学者でもある探偵役の瀬在丸紅子(とその友人である保呂草潤平・小鳥遊練無・香具山紫子)が遭遇・解決した事件を、探偵でもある保呂草潤平が回想として記述する「Vシリーズ」の第8弾……なのだが、本作では瀬在丸紅子も小鳥遊練無も香具山紫子も出てこない。凡庸極まる祖父江七夏と林のコンビも出てこない。Vシリーズのメインキャラクターは保呂草のみである。保呂草がとある別荘で巻き込まれた事件を書き記したという設定なのだが、何とS&Mシリーズの犀川創平・西之園萌絵・国枝桃子が登場する。
改めて思ったのだが、やはりキャラクターとしての魅力は、瀬在丸紅子よりも西之園萌絵の方が上であり、小鳥遊練無・香具山紫子よりも国枝桃子の方が上である。この後もS&MシリーズとVシリーズが交差するのか、見物だなあ。