成川博康『深めて解ける!英文法 語法&構文』

深めて解ける!英文法語法&構文―試験で点がとれる成川博康の英語 (大学受験Vブックス)

深めて解ける!英文法語法&構文―試験で点がとれる成川博康の英語 (大学受験Vブックス)

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『深めて解ける!英文法』とセットで読み進めていた。本書の方が後から読み始めたのだが、薄いのと、内容的に「読み物」感覚でサクサク読めるので、ほぼ同時に読み終えた。内容としては『深めて解ける!英文法』の続編というか姉妹編で、語法と構文についての解説が載っている。
本書では、文法力とは「さまざまな状況に応じて英文全体を構成していく力」で、語法力とは「その英文全体を構成する部分に着目して、個々の語を全体の中で適切に使いこなしていく力」であると定義している。著者の説明は原則としてズバ抜けてわかりやすいのだが、この説明は正直わからなかった。私の理解では、語法とは、文レベルではなく、個々の単語レベルでの決まり事を指す。要はaとtheの使い分けや、可算名詞と不可算名詞の見分けなどが典型的な語法と言って良い。また、この動詞は日本語の意味から考えると第4文型を取ることができそうだが、実は第3文型しか取ることができない……といった日本語と英語の感覚の違いに着目しながら言葉の使い方を学ぶのも、語法学習の範疇である。例えばspeakは自動詞としての用法が多いが、sayは第3文型で、tellは第4文型で使うことが多い。あるいは「I like you.」を「私はあなたのことが好きです」と書くと自動詞に見えるが、likeを直訳すると「〜を好む」であり、好む対象を明示しなければならないから他動詞としてしか使えないはずである。*1
こうした語法は、受験生の多くは「暗記」で対応している。しかし著者は暗記を嫌っているので、言葉の語源やイメージにまで踏み込んで、speakとsayとtellとtalkの違いを学ばせようとしている。こういうのは社会人向けの「英語読み物」としてはよくあるが、受験参考書としては貴重かもしれない。
さて、本書のもうひとつのテーマである構文は、文法の一要素というか一部分を切り出したもので、文法のうち「文の形」を決めるものを構文と呼んでいるようだ。こう書くと、英文法の大半は突き詰めると(語法っぽいものを除く)大半が構文と言えなくもないような気がするが、その辺りの使い分けは正直よくわからない。英語学習における構文の位置づけも正直曖昧で、私の学生時代を思い出してみても、構文学習や構文暗記を凄く重要視する英語の先生もいれば、構文なんて英文法を学んだ後は読解問題で対応すれば良いじゃないかという英語の先生もいた。また受験参考書を手に取っても、700や800もの構文を載せている本もあれば、100やそこらの構文集もある。かように「よくわからない」存在の構文ではあるが、とりあえず本書では倒置や省略・否定等を「特殊構文」と呼んで解説している。
この人の本はわかりやすいので、『深めて解ける!英文法 OUTPUT』という問題集も一緒に買ったのだが、別冊を含めると800ページを超える辞書のような分厚さである。さて、すぐやるべきか、やらざるべきか……? 一通り、どんな文法があったかはざっくりと思い出せたので、問題集を説くという勉強スタイルは、もう少し後の方が良いかもなあ。

*1:中学1年生で学んだ記憶が確かならね。