うえお久光+綱島志朗『紫色のクオリア』

紫色のクオリア (電撃文庫)

紫色のクオリア (電撃文庫)

いわゆるライトノベル。ネットで評判が良いので買ってみた。
主人公の女の子は紫色の瞳を持ち「人間が皆ロボットに見える」という特殊な人間で、語り手の級友は(翻弄されながらも)小動物のような愛すべき主人公に癒され……という、実に下らないイントロがしばらく続く。何故そんなに評判が良いのかと不思議だったが、しばらく我慢して読んでいると、私の第一印象が間違いだったことに否応なく気づかされる。
まず第一に、主人公は「人間が皆ロボットに見える」女の子ではなく、単なる語り手と思っていた級友の女の子の方だったということ。第二に、下らない癒し系ストーリーではなく、平行世界を扱った意外に真面目なSFだということ。平行世界で何度も試行錯誤を繰り返すのは『STEINS;GATEシュタインズゲート)』を彷彿とさせるかも。ちょっと立ち上がりが遅すぎるなぁと思ったけれど、これは面白い。