
- 作者: 山口真由
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2014/07/02
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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本書の肝は、ウダウダ考えたり書いたり音読したりといったインプットを止め、「300ページ程度の文章中心の本を30分程度でサラサラと斜め読みする」ことを7回繰り返せ、というものだ。英文法・数学・現代文など科目毎に多少のアレンジは必要だが、基本的には勉強はこれだけで良い、という主張である。
本書を読んで思ったのは、「計算が合わない」ということ。
そもそも著者は、この勉強法に特別な才能は要らないと言っているから、著者と同じノウハウで我々も東大に合格できると仮定してみる。30分×7回として、教科書1冊(つまり1科目)に必要な勉強時間は3.5時間。国立大学の大学受験に必要な科目は英・数・国・理2・社2だろうか。国語を現代文と古典に分けるとか、数学を数I〜IIIとかA〜Cに分けるとか、英語を長文読解と文法問題に分けるとかしても、まあ15科目がせいぜいだろう。で、15科目×3.5時間で、52.5時間、これだけで大学受験の勉強が概ね済んでしまうことになる。著者は大学受験の際は1日10時間勉強したというが、著者ならわずか6日で余裕を持って東大合格レベルにリーチできるということだ。
まあ、そうは言っても我々は凡人なので、復習のためにもう14回ぐらい余分に基本書をサラサラと読み返すとか、1科目につき数冊の教科書を読むとか、模擬試験や過去問をやってアウトプット対策をするとか、そういう時間を諸々加味して、52.5時間ではなく、その10倍もみっちり勉強したとする。それでも東大合格に必要な時間は525時間なのである。著者は大学受験の際は1日10時間勉強したというが、浪人すれば、予備校に通うぐらいしかやることはないから、著者と同じ時間だけ勉強時間を確保できるだろう。で、実際に浪人すると、53日、つまり2ヶ月弱の勉強で凡人から東大合格レベルにリーチできることになる。
本当か?
どう考えても計算が合わない。
仮にもノウハウ本であるなら、ノウハウは隠さず、そして(少なくとも表面上は)整合的に書いてほしいものである。
ただし教科書の斜め読みを最初に繰り返す、という発想自体は良いと思う。3.5時間(30分×7回)で本当に中身をマスターできるのならば、私も溜まった専門書を片っ端から流し読みしてみよう。