井沢元彦のライフワーク的な本。
逆説というだけあって、資料至上主義を排した大胆な推理や、既存の歴史学が重視していないことを重視して、本書を執筆している。その最たるものが、日本の怨霊信仰(御霊信仰)であろう。日本に宗教はあるとかないとか言われることは多いが、そもそも日本の「和を以て尊しと為す」は儒教とも仏教とも違う日本独自の思想であり、そこと密接に絡み合った怨霊信仰(御霊信仰)こそが日本人の宗教である、しかし既存の歴史学では怨霊信仰(御霊信仰)の実態を全く踏まえていない……という下りはなかなか面白かった。個人的には、これまでは神道と結びついた八百万的なアミニズムが日本人の宗教観ではないかと漠然と思っていたが、確かに怨霊信仰(御霊信仰)の方が宗教・信仰としてピンと来た。