高畑京一郎『タイム・リープ あしたはきのう(上)』

タイム・リープ<上> あしたはきのう (電撃文庫)

タイム・リープ<上> あしたはきのう (電撃文庫)

タイム・リープ<上> あしたはきのう (電撃文庫) タイム・リープ<下> あしたはきのう (電撃文庫)
友人と連れ立って「日本SF展」に行ったところ、面白くて色々と刺激されたため、「積ん読」状態だった本書を読んでみた次第。いわゆるライトノベルなのだが、ここはあえてジュヴナイルSFと呼ぼう。
何の変哲もない女子高生だったはずの主人公は、ある日突然、前日の記憶をすっぽりと失くしていることに気づく。今日は月曜日だと思ったのに火曜日で、月曜日にも自分は普通に生活していたらしいのだが、その記憶が全くない。そして日記を見ると、記憶のない「月曜日の自分」から「火曜日の自分」へのメッセージが見つかる。
「あなたは今、混乱している。若松くんに相談しなさい……」
主人公は、そもそも余り話したこともない級友の若松に相談を持ちかけようとする。けど、こんなこと、どうやって相談するか……と、こんな感じのプロローグ。
書名が『タイム・リープ』なのだから、これがタイム・リープ現象なのは間違いないのだが、なかなか引き込まれる導入部分である。
電撃文庫というライトノベルレーベルから出ていることもあり、普通の中高生でも苦もなく読み進められる文体である。冒頭で、いきなり「きゃあ!」とか「いったぁい」と主人公に発言させるあたりに何とも言えない感情を抱いたが、文章は別に下手ではないのですぐに慣れた。描写が稚拙というよりは、70〜80年代のテレビアニメやテレビドラマ的な描写に忠実であった、という感じかな。

余談

本書と直接の関係はないが、本書を手に取るきっかけになったという意味で、「日本SF展」を紹介。世田谷文学館の企画展だが、9月28日までなので、興味のある方はお早めに。

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