リサ・ヘインバーグ『組織開発の基本 組織を変革するための基本的理論と実践法の体系的ガイド』

組織開発の基本~組織を変革するための基本的理論と実践法の体系的ガイド~ (ASTDグローバルベーシックシリーズ)

組織開発の基本~組織を変革するための基本的理論と実践法の体系的ガイド~ (ASTDグローバルベーシックシリーズ)

  • 作者: リサ・ヘインバーグ,川口大輔
  • 出版社/メーカー: ヒューマンバリュー
  • 発売日: 2012/07/08
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ASTDグローバルベーシックシリーズ(現在はATDグローバルベーシックシリーズ)。
一般的な問題解決は、問題特定→問題分析→解決方法分析→アクション・プランンニングといった流れを採る。As-IsとTo-Beのギャップを問題として特定するところから始めるので、「ギャップ・アプローチ」とも呼ばれる。まあわかりやすく「問題解決型アプローチ」とするのも良いかもしれない。組織開発・組織変革においても、一般的にはやはりこういうアプローチを採るだろう。
一方、本書では、組織開発の比較的新しい手法として、アプリシエイティブ・インクワイアリー(AI)という、「ポジティブ・アプローチ」で組織改革をしようという手法を中心的に紹介している。
検索したらすぐに出てくるので簡単に書くと、ポジティブ・アプローチは、組織や人の強みや可能性により注目して組織変革を行っていく手法である。先ほどのギャップ・アプローチではなく、最高の強み・最高の状況・最もモチベーションが上がる状態といった、いわゆるTo-Beを徹底的に肯定的に描き尽くして、そこに至るための道筋を具体的に考えていくというものだ。
個人的には、以前「AI推し」のコンサルタントのプレゼンを聞いて以来、ちょっとふわふわし過ぎていて、かえって変革を阻害するんじゃないかと思った記憶がある。学生ビジネスサークルや自己啓発セミナーのような、意識高い系の活動に馴染めない人間は一定数いるからである。しかし実際の使用例はあまり知らないので、もしかしたら役立つのかもしれない。